日本の土地を実際に開発・評価する際、前回ご紹介した「三大斜線制限」だけを見ていると判断を誤ることがあります。なぜなら、日本の法規にはさらに強力な2つの規定──「高度地区」と「日影規制」──が存在するからです。
【高度地区 ──「各自治体の都市計画による決定権」】
自治体(東京都の各区など)が地域の実情に応じて定めるルールで、多くの場合「北側斜線制限」を強化したものです。
効力:建築基準法の「北側斜線制限」を直接上回ります。
規制が最も厳しい点: 一般的な建築基準法の「北側高さ制限」は、5mまたは10mの高さから斜線の計算が始まります。しかし自治体の「第1種高度地区」では、1.5mまたは4mの位置から斜線を計算し始めなければなりません。勾配は同じ1:1.25ですが、「天空率」をもってしても高度地区の制限を緩和することはできません。もちろん、同時に「道路斜線制限」と「隣地斜線制限」の基準も満たす必要があります。
【日影規制 ──「冬至の影のコンピュータシミュレーション」】
北半球で太陽が最も低くなる「冬至」を基準とし、建物が隣地に落とす「日影の時間」が基準値を超えないよう、コンピュータでシミュレーションします。
効力:通常、中高層の建築物(住居地域内で3階建て以上、または高さ7m・10mを超えるものなど)で適用対象となります。
「冬至の日影シミュレーション」をクリアした場合: 建物がこのより厳しい「冬至の日影シミュレーション」をクリアすれば、通常その建物の「北側斜線制限」は免除されます。ただし、「道路斜線制限」と「隣地斜線制限」の基準は引き続き満たす必要があります。

【三大斜線制限を総合的に見た、遵守の手順:】
容積率・建蔽率の評価 → 道路斜線/隣地斜線(天空率の適用可否を検討)→ 高度地区の有無を確認(ある場合は最優先の遵守原則とする)→ 建物の高さが日影規制に該当するかを確認(該当すれば北側斜線は免除、該当しなければ「北側斜線制限」の基準を満たす必要あり)
